東京・昭島の少年”殺人”は自殺だった 母親は証言を変えず(2009.10.11)
今年の8月19日、東京都昭島市の都営アパートで少年(18)が殺害されたとされる事件は、その後の捜査で少年による自殺と判断されたことが明らかになった。当時、保険外交員の母親(38)が「息子はダイニングで男ともみ合っていた」などと話しており、警視庁捜査一課と昭島署は殺人事件として捜査していたが、ダイニングで争った形跡がなかったことや現場の状況から少年による自殺と判断した。
事件発生は母親からの通報だった。「息子が刺された」と119番通報があり、昭島署員らが駆けつけると、少年がベッドの脇で胸から血を流して倒れていた。ベッド周辺に大量の血痕があり、遺体の近くに血のついた包丁が落ちていた。少年はその後死亡が確認された。死因は失血死。
警視庁で母親から事情聴取をしたところ「悲鳴が聞こえて部屋を出たら、ダイニングで息子が見知らぬ男ともみ合っていた。男は玄関から逃げていった」と話したことから殺人事件として捜査を開始。しかし外部からの侵入、荒らされた形跡などがなかったことに加え、少年が自ら刺した「ためらい傷」が複数あったことが確認された。
そうした状況に加え、ベッドには包丁の柄を押しつけたような跡があったことから、少年がベッドに包丁を立てて、その上に倒れ込んで自殺を図ったと判断した。包丁はこの家のものであった。
母親は事情聴取に対して「(警察が自殺というなら)自殺なんでしょう」と話すようにはなったものの、「見知らぬ男を見た」という説明は変えず、「私が見た男は何者なのでしょうか」「部屋から逃げた男が(自殺の)原因を作った」などと訴えているという。少年は当時、母親ときょうだいの3人暮らし。少年の知人によると、死亡した少年は中学時代はサッカー部に所属し、友人も多かったが、死亡する直前は自室にこもりがちだったという。少年は大学を目指して浪人中だった。
不可解な事件だった。第一報で「ダイニングで知らない男と息子がもみ合っていた」との母親の証言があったその一方で、争った形跡がなかったことが当初から報道されている。殺人事件であるのにもかかわらず、続報が入ってこないことが奇妙であった。母親の証言通りであれば、犯人の人相着衣などが公になるはずであるが、それすら発表がないことに違和感があった。母親の証言は何を意味しているのであろう。自殺した少年の現実を受け止められていない状態なのであろうか。
警視庁は捜査報告書を東京地検に送ることとしており、捜査はこれで終結する。
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