情報流出どう防ぐ 盗聴、盗撮、データ盗難

 警視庁が顧客情報流出事件で逮捕した男の容疑は、CD1枚(65円相当)を盗んだことに対する窃盗罪だけであった。CDには顧客情報が149万件含まれており、うち5万件分を名簿業者に32万8000円で売り渡していたにもかかわらず、たった1枚のCDに対する立件だった。捜査幹部は「情報が会社のCDではなく、私有のCDであったら窃盗容疑での立件は難しかった」と話す。
 
 ここで問題になるのは、情報の持ち出しに関して法令では何の規制もないことにある。「情報窃盗罪」のような法令の制定を考えなければ、今後もこうした犯罪は止まないことだろう。情報を持ち出したことについて罪に問うことができるとすれば、今回のような窃盗罪の他に、窃盗行為に伴う不法侵入罪、強盗罪、業務上横領罪などもあり得る。サーバーやパソコンに不正に侵入すれば不正アクセス禁止法違反がある。データの入ったCDやUSBメモリなどを紛失する事案も多いが、それ自体が罪に問われることはない。
 
 
 試着室、脱衣所、トイレに露天風呂、こうした所が盗撮の被害に遭っている。ネットで検索するといとも簡単にそうしたサイトが出てくるが、同時にあまりにも無防備に盗み撮りされていることに驚く。盗撮カメラは小型のもので、小さな場所あれば簡単に設置することができる。カメラが小型なのは、携帯電話に付いているカメラを見れば、その小型化に納得がいってしまう。最近ではペン型で録画機能を備えたものもあり、その辺にあるボールペンにまさか盗撮されているとは気付くこともない。
 
 盗撮行為は都道府県の迷惑防止条例で禁止されており、犯罪として摘発が可能である。しかしスカート内盗撮はよく報道されるが、脱衣所などの盗撮が摘発されるケースはあまり聞かない。それでもそうした小型カメラを仕組むということは、不法侵入の罪も成立することが多いであろう。海外のあるホテルではシャワー室内が盗撮されて、インターネットでその動画が出回った。そのことによりホテルの売り上げは激減、特に「女性のお客様が来なくなった」という。
 
 ある女性服売り場では、試着室周辺などに特殊な機械を設置して盗撮を防いでいる。盗撮するための小型カメラは電波を出して、どこかでそれを受信するようになっている。そうした電波をキャッチして未然に被害を防ぐのだ。売り場の責任者は「お客様との信頼問題、店の死活問題に関わる」として盗撮事案を重要視している。
 
 盗聴も企業にとって死活問題になる。あるゲームソフトメーカーの担当者は「ゲームの内容は発売日まで公表できない。それが漏れればそれまでの努力が水の泡になる」と話す。製品が販売前に盗撮されたり、会議の内容が盗聴されたりすれば、時間や金というコストをかけてきたものが全て無駄になってしまう。
 
 盗み聞きするためのマイクはカメラと違い、音だけ拾えばいいのであるから隠され方も巧妙だ。前述のペン型もあれば、自宅にあるような電源タップ型(中にマイクと電波発信装置がある)もあり、さらには壁のコンセントに仕組まれている場合、電源供給もそこからなされることから、半永久的に盗聴された音声が発信されることになる。ある企業では、専門業者に定期的に調査を依頼。業者は特別な装置を使って不審な電波が流れていないかをチェックし、PCコードや電源コードなども調べる。さらにはオフィス内の椅子やテーブルなどの隙間を目視でチェックする。
 
 こうした被害を個人で防ぐ手段もある。盗聴盗撮機の類が発信する電波を見つける「盗撮・盗聴器発見器」なるものも販売されている。値段は1000円台から上限は数万円までいろいろだ。自宅や試着室・脱衣所などに妙な機械が設置されていれば発見することも可能だ。一部はコンビニでも売っているが、量販店やインターネットで探すと見つけることができる。
 
 データ盗難・盗撮・盗聴というものは、企業が被害に遭えば大きなダメージを受ける。それはコストだけではなく、取引先や客の信頼というものも失うという点で重大なリスクだ。個人の被害としても、コピーされた情報はネットで流れれば取り返しが付かない。
 
 信用も情報も無形の財産だ。それを守るための術を知っておくべきであるし、「私は大丈夫」という過信も捨てた方がよい。試しに安価な発見器で身近な所を調べてみてはどうだろうか。しかしその結果、信頼していたはずの人を失う結果になる可能性も、全否定できない世の中である。
 
 
☆ 人間は誰でも月である。誰にも見せない暗い面を持っている。(Mark Twain)
 
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★ アリコ顧客情報流出:通販への信頼失墜 売却、再建に影響も(毎日新聞・09/7/24)
★ 相次ぐ個人情報流出 「情報窃盗罪」がなく立件に壁(産経新聞・09/7/1)
 
 

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