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時効の殺人 民事賠償確定へ 最高裁

 1978年(昭和53年)、東京都足立区内の小学校の女性教諭(当時29)が殺害され、26年後に遺体が見つかった事件で、殺害を認めて出頭した同じ小学校で警備員をしていた男性(73)に遺族が不法行為に基づく民事賠償を求めていた訴訟で、最高裁第三小法廷は17日、判決を28日に言い渡すことを決めて関係者に通知した。男性に対する約4200万円の支払いを命じた二審・東京高裁判決が確定する。
 
 一審の東京地裁判決では、殺害に対する民事上の不法行為に対する賠償請求権が時効により消滅しているとし、遺体を隠したことだけを不法行為として330万円の支払いを命じた。これに対して二審の東京高裁では、遺族側は男性が自首するまで(男性の不法行為を知らなかったので)請求権を行使できなかったのに、男性が賠償義務を免れるのは「著しく正義・公平の理念に反する」と判断し、請求権は消滅していないとして賠償額を大幅に増やし、男性が上告していた。
 
 民法では不法行為を知ったときから3年以内に提訴しなければ、不法行為に対する賠償請求権が時効により消滅する。また、不法行為から20年を経過した事に対しては同じく時効により請求権が消滅する。
 
 そのため、男性が殺人・死体遺棄について出頭をした04年当時では、殺人に対する刑法の殺人罪はもちろん、民事についても不法行為(事件発生)から26年が経過したので請求権がなく、死体遺棄についてのみ賠償請求権がある、としたのが一審判決。
 
 対する二審判決では、不法行為(殺人)から20年を過ぎているが、男性の自首がなければ遺族が不法行為を知ることはできず、法の正義・理念に照らせば見過せないとした。
 
 出頭時の男性によると、女性教諭とささいな口論がきっかけで校内で殺害、遺体をコンクリート詰めにして自宅床下に埋めたとのことであるが、男性の供述のみで何ら目撃者や物証がないため、真相ははっきりしていない。
 
 この事件で男性が警察に出頭をしたきっかけは、道路の拡張工事により家が取り壊されることとなり、遺体が発見されると思ったからである。男性の出頭を受けて、警視庁は殺人・死体遺棄容疑で事情聴取をして書類送検したが、時効が成立していることにより不起訴処分となった。
  
 
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★ 時効の殺人、遺族への賠償確定へ 最高裁28日に判決(朝日新聞・09/4/18)
★ 札幌の時効成立殺人 民事で元容疑者に賠償命令(本ブログ・08/4/2)
★ 悪魔の詩 翻訳者殺害、時効まで2週間(本ブログ・06/6/25)
 
 
 

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