「大麻欲しさに万引き」の被告に、「バカ」と裁判官
岐阜地裁で窃盗罪に問われている男性被告(20)に対して、男性裁判官(40)が「バカ」と発言した。被告は岐阜市内の複数の書店で229冊の本を万引きした。万引きの理由は「借金の返済や大麻を買うため」であった。
裁判官は「大麻が身体に悪いと分かっているのか」と尋ねたのに対して被告は「体に悪いと思っていない」と答え、裁判官はそれに対して「あんたがバカだから分からないんだよ」と発言した。被告は「害がゼロとは言わないけど、インターネットで調べたら、たばこや酒より害がないと書いてあった」と反論。裁判官は「だまされているんだよ」と何度も諭したという。
ここのところ、大麻の不法所持や営利目的の栽培で逮捕される例が続出している。1つには厚生労働省の麻薬取締部(麻取)の活躍がめざましいことが挙げられる。際立っている理由の1つとして、警察の薬物対策捜査員と職務内容が同じであることから、警察への編入案が出ている事に対して、麻取が力を誇示していることが推測される。
いずれにせよ、大麻で捕まる者は後を絶たない。ネット上では上記被告と同様に、「大麻はタバコや酒より害がない」「肺がんのリスクはタバコの方が大きい」「欧米では微量の大麻は違法ではない」「エイズ患者の食欲促進として大麻は有効」といった内容のサイトを見つけることができる。その一方で、「幻覚や妄想を引き起こす」「統合失調症になる」「心臓や肺に有害」など有害説も依然根強い。
”大麻擁護”で気になった記述があった。「酒は酔って人に迷惑かけたり飲酒運転を引き起こす」「覚せい剤などと違い、大麻を吸って凶悪事件を起こした者はいない」といった内容だ。しかし前にも書いたが、比較の問題ではない。大麻が完全に無害というのであればともかく、実際に幻覚を経験した知人がいる。「運転中に信号の色が分からなくなった」というものだ。タバコに比べれば害が少ないから合法にすべきである、という根拠は乏しい。
被害者がいない犯罪ならしても良いというのであれば、違法風俗や管理売春なども合法にしなくてはならない。風紀が乱れれば、社会の秩序も乱れる。大麻擁護者は例えばスピード違反で捕まったときに「私よりもっと飛ばしているやつがいるじゃないか」と言っているようにも聞こえる。
冒頭の「バカ」といった裁判官も品がないが、違法な薬物を得るために違法な手段を完遂した被告も品があるとは思えない。薬物依存から抜けようと、必死に努力している人たちがいることも知っておくべきである。
☆ 今日という日は、残りの人生の最初の日。 (Charles Dederich / 米薬物更生施設の精神科医)
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★ 裁判官、反省の姿勢見せない被告に「バカ」(朝日新聞・09/4/16)
★ 薬物使用の危険性 大麻の脳への作用[メンタルヘルス](All About・07/9/26)
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