「医師の車」を緊急車両に

 
 8年前、自宅療養していた祖父が肺がんで他界した。「入院と自宅療養とどちらがいいですか?」と聞かれ、迷わず後者を選んだ。比較的、病院からは近かったとはいえ、容態が急変してから連絡し、訪問看護のスタッフが来るまではそう早くはなかった。スタッフが到着すると薬が投与されて、祖父も苦しみが和らいだようであった。そして30日ほどが経過した某日、祖父が苦しみだした。これまでにはない苦しみ方だ。急いで病院に電話をした。
 
 訪問看護師の女性が自転車で駆けつけて来たが、偶然にもかつて同じバイト先で一緒に働いたことのある女性だった。彼女は半分に切った座薬を入れてそのほかの処置もして帰って行った。その10分後、祖父とは永遠の別れとなってしまった。
 
 末期患者の場合、病院よりもできれば自宅療養をしたいと思うのは当然だ。しかし、自宅と病院があまりにもかけ離れている場合、容態が悪化したときにすぐに対応してもらえないのは不安だ。患者本人も苦しいであろう。
 
 国土交通省と警察庁は09年度から、在宅医療を受ける終末期患者の苦痛を和らげるために、緊急治療に駆けつける医師の車両を緊急自動車に認定することを決めた。救急車同様に優先走行などが許可される。車種は問わないが、赤色灯とサイレンを備え付ける必要が生じる。塗装にはパトカーや救急車などのような制限がない。「周辺住民に知られたくない」という患者側の要望に応えたものだ。
 
 少子高齢化が現実的に始まっている状態で、医師や救急隊員の負担増が懸念される。こうしたこともあり、「医師の乗った緊急自動車」の需要は高まるに違いない。人間の最期が穏やかに、そして一番人間らしい瞬間を迎えられるように、こうした取り組みが積極的に行われることが望まれる。
 
 「おじいちゃん、この看護婦さんとは前にアルバイトで一緒に働いてたんだよ」というと、看護師の彼女も「Nonoさんには大変お世話になったんですよ」と返してくれた。おじいちゃんはにっこり微笑んでいた。80年生きてきた人の最期っていうのは、たくさんの人に声をかけられて、手を握られて、看取られて、そんな風にはなかなかいかないものなんだな。
 
 
☆ 亡くなった人を悼むのは愚かだしまちがったことである。それよりもそのような人が生きていたことを神に感謝すべきだ。(George A. Patton)
 
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★ 在宅終末期患者:苦痛緩和のため「医師の車」を緊急車両に(毎日新聞・09/1/13)
 
 

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