言葉のリサイクル

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ビッグスターの育つ土壌

 
 母はインターネットをしないがテレビで情報を得ており、それなりの芸能通である。石原裕次郎に関する番組を見ていた母に質問した。
 
 「石原裕次郎や美空ひばりというスターは、いまで言えば、強いて言えばだれ?」
 
 「うーん、強いて言えばといっても、誰がいるのよ」
 
と、逆に質問されてしまった。それでも誰かいるでしょうと聞いても回答は無かった。母は、
 
 「裕次郎は歌も上手いし演技もできるし色気があった。なんと言っても風格がいまの俳優とは違う。ひばりはどんなジャンルでも歌えて、『歌の神様』のような存在だったからね」
 
 なるほど。ただ、今とは時代背景が異なる部分もある。例えば、裕次郎の「銀座の恋の物語」は売り上げ270万枚の大ヒットとなったが、これはレコードである。母曰く、レコードプレーヤーを「誰もが持っていなかった」ことを考えると、これは大きな数字である。
 
 そして多くの世帯でテレビや映画が娯楽として日常に溶け込んでいたこともあり、受け身であった視聴者にとって芸能人の存在は釘付けとなった。
 
 昨今でもテレビの影響力は大きいとはいえ、テレビ離れ、CD売り上げの減少が叫ばれて久しい。視聴者の生活や購買の方向性が変わったことが大きく影響している。
 
 近年では映画盗撮や違法な映像・音楽のアップロードもある。こうした状況が続けば、クリエーターや俳優、そしてアーティストの収入が減ることは明白であり、トップスターが育つ土壌そのものが揺らいでしまう。
 
 消費者が自らの嗜好でたどり着くことのできる手段の一つがインターネットだ。芸能人の中にはYouTubeといった動画投稿サイトに自ら投稿して「売り出し」に力を入れている。また、飲食店経営や、「ピース」の又吉直樹のように作家という顔を持つ有名人も現れた。
 
 これからは、さまざまな好みに対応できる人が著名人になることであろう。業界が有名人を育成し、売り出す能力も問われる。その中でビッグスターはきっと現れる。運があり実力があり華がある、そういう一般的な感覚とかけ離れた”異常”な空気を持った人が現れる。
 
 正確に言えば、空気が一瞬止まるような、世界がひっくりかえるような驚きを兼ね備えたような人。心奪われるような人の存在に期待したい。そしてそうしたスターを育てる土壌を支えるのは、私たちの好奇心である。
  
  
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