生産性を優先するため犠牲になっていること

 
 電車内で横に座っていた女性の会話を聞いていた。彼女は家の前を通りかかった顔見知りの宅配業者に「近くまで乗せていって」とお願いしたらしいが、断られたということである。「ついでに乗せてくれればいいのに」ということであるが、これはとんでもない考えである。
 
 宅配業者は配達の順番が決まっており、その道順に従って走行する。毎日同じ家に行くとは限らないうえ、時間指定の配達もあるため、1分1秒を無駄にしないように考えて走行する。しかし急ぐあまりに交通事故を起こしてはならず、慎重な運転が求められる。会社によっては走行状況が記録されており、「なぜこの道をこのスピードで走ったか」と会社から注意されることもある。万一、知り合いだからといって人を乗せた状態で交通事故にでも遭えば大変な問題となる。
 
 どうも、他者の仕事を簡単に考えているのではなかろうか。
 
 少ない人数で大きく利益を上げなければいけないのはどこの会社も同じである。「サービス業は生産性が低い」という向きもあるようだが、人件費が負担になる、その言は「働いている人の存在が負担である」と聞こえることもある。どこぞの牛丼チェーン店で問題になっている「ワンオペレーション(1人勤務)」問題はその最たるものだ。利益優先にした結果、防犯意識が希薄になり、店舗が犯罪者のターゲットになってしまった。働いている人の待遇改善もままならない。
 
 一見して簡単に見える仕事も当然のことながら重責を担っている。生産性が低いと感じるのであれば、経営者は是非生産性の高い仕事を働いている人に見せて欲しい。これまで仕事をしてきて、成果を出している人、やってみせる人の仕事というのは説得力がある。整合性のある考察の上で生産性を高める議論をすべきである。
 
 経済が上向きになったときに、その土台を支えている人たちもが豊かになってこそ本当の経済成長である。繁栄のために犠牲になる人があってはならず、働く人の士気を高める方法論を確立することも本当の政治力である。
 
 宅配トラックが停車していた所が交通の妨げになっていた。運転手は近所の男性に数十分立たされたまま叱られていた。停める位置が悪かったのかもしれないが、そこで緻密に考えられていた運転手の配送時間は止まってしまった。そんな光景を目にして、やるせない気持ちになったのである。
 
☆ The mediocre teacher tells. The good teacher explains. The superior teacher demonstrates. The great teacher inspires.
 
 平凡な教師は言って聞かせる。良い教師は説明する。優れた教師は立証してみせる。偉大な教師は触発する。(William Arthur Ward)
 
 
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