無断で個人情報を共有していいのか 車のナンバーや監視カメラ

 
 車のナンバーを読み取ると言ったら、警察が導入しているNシステムが有名だ。事件が発生すると道路上に設置されたNシステムが該当車両のナンバープレートを読み取り、不審車両や被疑車両の割り出しに効果を発揮する。
 
 民間が同じようなシステムを開発した。商業施設駐車場にシステムを設置し、来場者車両のナンバーを読み取る。ナンバーからは「○○県△△市◇◇町」までの住所が判明するが、それ以降の番地や所有者情報までは分からない。
 
 試験的に同システムを利用してきた施設側は、「予想より遠くから来る人がいる事は分かりました」。ただ、「得られた結果は想定の範囲を大きく超えるものではなかった。今後もデータをとり続ける必要はない」とし、システムを返却するという。
 
 ところで個人情報保護の観点から言って問題はないのか。ナンバーが読み込まれている事を施設利用者は知らない。同意を得ずに来場者の情報を撮影するには疑問が残る。
 
 個人情報保護法で保護の対象となるのは、「個人を識別できる情報」である。それは氏名、生年月日、住所、そして顔写真などである。本システムは住所が不完全である事から「個人情報には当たらない」というのがシステムを運営する会社の見解である。
 
 同システム運営会社が「自動車検査登録情報サービス」や「軽自動車検査情報提供サービス」に照会し、サービス運営機関が国土交通省に照会した情報が提供される仕組みとなっている。ナンバープレートの情報は元々公開情報なので、情報取得自体は法的に問題は無い。
 
 なお、完全な住所や所有者情報等を取得する場合、ナンバープレートと車体番号等が必要になり、そうした正当な理由が無ければ、現在のシステムにおいてナンバープレートによる個人情報は入手できない。
 
 これに先立ち、今年の4月に読売新聞が取り上げた事案も興味深い。
 
 ”顔認証システム”が一部の商業施設に設置され、万引き犯やクレーマーなどの映像による個人情報が他の施設と共有されているという。
 
 スーパーマーケットなどにおける窃盗被害は深刻であろう。しかし、「監視カメラ撮影中」などと告知されている事が多いとはいえ、顔や容姿を撮影された施設利用者を一方的に「万引き犯」「クレーマー」などと”タグ付け”されたものを他店と共有するというのは、同意を得ずにに第三者に情報を提供する事を禁じた個人情報保護法に抵触する可能性もある。
 
 ”怪しい”とマークされている人物が”無罪”だったとしても、それに反論する策も無ければ、そういう目で見られている事すら気がつかないのである。
 
 顔情報というのは個人情報の最たるものである。こうした状況があちこちで起きれば、勝手な理由を付けられて監視される事もあり得る。平穏な生活を送る上で支障が出かねない。
 
 防犯上の理由であれば監視カメラは設置が認められており、ただちに法的に問題になる事は無いが、カメラ設置基準が明確に存在するわけではなく、監視カメラによる防犯活動は混沌とした過渡期の状態であると言える。
 
 カメラで監視している事を告知するのは当然だが、映像情報等管理責任者の氏名を明示し、その情報に携わる事のできる人間を厳格にしなければ、ベネッセ社の個人情報流出事件の二の舞となる事は避けられないであろう。
 
 99年、新潟県警の男性警部の女性問題を巡り、県警が警部の車での行動をNシステムで把握していた事が新潟日報によって明らかになった。本来の業務を逸脱するような使い方に、県警内からも「乱用では無いか」と声が上がったという。
 
 人は過ちを犯す動物であるし、悪意をもって物事に接する者もいる。情報は常に流出する危険があるという認識を怠っては、一個人の安全が守れないということを映像管理者側は留意すべきである。 
 
 
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★ レポート『Nシステム裁判』vol.5 目的外利用が例外だって?(レスポンス・01/3/2)
★ 車のナンバー:自動読み取りで顧客分析 進むビジネス化(毎日新聞・14/7/27)
  
 

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