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母親に覚せい剤漬けにされ売春をさせられた女の子 札幌 (2011.9.22)

 「あまりにもひどい家庭環境」と道警捜査員が語った。8月中旬、札幌市内の無職の少女(16)が覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで北海道警札幌西署に逮捕された。好奇心で手を出したというような話ではない。実母に勧められて覚せい剤を使用した。
 
 少女は札幌市内で先月任意同行を求められて、尿検査で覚せい剤成分が検出された。実母からの勧めを断ることができなかった。そればかりか、小学6年生のころから実母に命じられて売春をした。出会い系サイトに自らアクセスして相手を探す。もらった金は実母に渡した。覚せい剤欲しさに実母は少女に売春を命じた。
 
 実母が覚せい剤取締法違反(使用)で逮捕された数年前に、少女は児童相談所に保護される。しかし実母が出所すると再び同居し、中学にもほとんど通わずに実母や暴力団関係者とのつながりの中で生活が続いた。
 
 20日には少女にわいせつ行為をした暴力団関係者の男(36)が北海道青少年健全育成条例違反容疑で逮捕される。この男は覚せい剤の売人とみられている。また少女の養父(35)も覚せい剤取締法違反(使用)容疑で逮捕された。
 
 読売新聞の記事にもあるように、虐待ともいえる劣悪な家庭環境だ。少女にはきょうだいが何人かいるようであるが、父親が誰なのか説明できないほど複雑であるという。道警によると、少女は「家賃は大丈夫かな」と、住んでいるアパートの家賃の支払いを心配することがあるという。
 
 22日、少女は中等少年院送致の保護処分が決定した。

札幌市の無職少女(16)が母親の勧めで覚せい剤を使用したとされる事件で、覚せい剤取締法違反(使用)の非行内容で送致された少女の少年審判が22日、札幌家裁であった。池田好英裁判官は、少女を中等少年院送致とする保護処分を決定した。
 池田裁判官は「非行の性質や成育歴、家庭環境などを総合的に考慮すると中等少年院送致が相当」と述べた。中等少年院は、矯正教育を目的とする少年院のうち、主に16-19歳を収容する施設。<北海道新聞9月22日夕刊掲載>

 
 成長過程にある少女を覚せい剤漬けにした実母の罪は大きい。そして実母の私利私欲のために売春までさせられた少女の心理状態が心配である。少女は未成年であるし、今後実母と一緒に生活をすることは難しくなるであろう。
 
 ほとんど学校に通っていなかった少女を助けることができなかったのか非常に残念である。闇のような生活の中で少女の苦しみを見つけてあげられなかった地域社会の冷酷さを垣間見る気がした。虐待防止が叫ばれているが、家の中を他人が入ることの難しさを改めて痛感する。
 
 少女は取り調べの中で「専門学校に行って仕事をしたい」と話しているそうだ。少女のこれからの人生で味方になってくれる新しい環境が芽吹くことを期待したい。少女にとっての教育は、忘却であり、少女らしく新しいことに挑戦する初々しさだ。若さというのはそれが可能であることをいつか本人が自覚するときが来ることに期待したい。
 
 
★ 母にすすめられ覚せい剤、命じられ売春の16歳(読売新聞・11/9/20)
★ 16歳少女、母が強要し覚せい剤 使用容疑で道警逮捕 小6から売春も(北海道新聞・11/9/21)
★ 覚せい剤使用の少女、少年院送致に 札幌家裁決定(北海道新聞・11/9/22)
 
 

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