記者会見とはこういうものなのか 発言の真意 恫喝する記者 鉢呂経産相辞任

 鉢呂経済産業大臣が辞任した。「死の町」、「放射能をつける」という内容の発言の責任をとっての辞任。会見の中で放射能発言については、オフレコの立った状態で記者との懇談での言動であり「まだ一週間であり、どの記者のかたたちと話したか分からない」、放射能発言の状況についても「明確な記憶がない」と述べた。
 
 真実を突き止めるのに記者会見で質問をするのは大切である。取材対象が明言することなく、質疑応答に対して不真面目な態度の場合、時には報道陣も熱くなるであろう。そして強く追求しなくては取材対象から正確な事実が得られないこともある。
 
 しかし、事件や事故の加害者に対しての追求ならともかく、発言に対する真偽を問いただすのに恫喝する必要があるのだろうか。
 
 大臣に対して「あなたね、国務大臣をおやめになられるなら、その理由をきちんと説明しなさい」「きちんと説明しなさい最後くらい」「説明しろっていってんだよ」と無礼な態度をしたのが何処の媒体の記者なのか。公式な会見ではなく、いわば”立ち話”での”放射能言動”を大きく問題にしたのはどこの媒体の記者なのか。大臣の発言よりもこうした記者の情報の取り扱いのほうがひどい。
 
 アメリカではオバマ大統領が会見をするとき、記者達は一斉に立ち上がって大統領を迎える。大統領が「座ってもよい」というジェスチャーをして初めて着座する。それくらい品格のある雰囲気だ。何でもよその国の真似をすることがいいとは思わないが、鉢呂大臣辞任会見時の一部の品格無き記者の何というていたらくである。

 「死の町」については当初全く問題だと思わなかった。原発から20キロ圏内の惨状、それは豚の死骸にウジがわいていたり、餓死してぺっちゃんこになっていたウシ。田んぼのあぜ道で白骨化したウシと思われる死骸。目の前にエサがあるのにオリが邪魔になって食べることができず、顔をオリに突っ込んだまま死んでいたイヌ。
 
 こうした状態を見たら「死の町」はむしろ適切。問題だとするならば、マスコミや野党はこの惨状を何と表現するのか。
 
 そしてその言葉だけを福島県民に聞かせれば「それはひどい発言だ」と返ってくるに決まっている。こんな世論誘導をし、政治をもてあそんでマスコミの人というのは権力でも手に入れた錯覚に陥っているのではないだろうか。それとも「脱原発」を表明していた鉢呂大臣は目障りだったか。
 
 野田総理もさっさと鉢呂大臣を辞めさせることなく、「あの言動なら問題ない。続投させる」と援護射撃すべきだった。
 
 大臣のこの程度の言動でやめさせようとする空気が異常である。鉢呂大臣は本当に辞めなくてはならなかったのか。国難のこの時期に。
 
 
(11/9/12・追記)
 ”放射能”の言動について、毎日新聞ではこう書いている。この文面を読む限り、”なすりつけられた”のは毎日新聞記者だと推測できる。
 
Q (福島第一原発の)視察どうでした?
A やっぱり、ひどいと感じた。(記者に突然、服をなすりつけてきて)放射能をつけたぞ。いろいろ回ったけど、除染をしないと始まらないな。除染をしっかりしないといけないと思った。
 
Q 予算措置は?
A あす、予備費の2200億の関連で閣議決定する。それでも足りないよね。じゃ、おやすみ。
 
 東京新聞(11/9/11・3頁)では、報道陣が録音しない「囲み取材」の内容として、共同通信記者から聞いた話を載せている。
 
 議員宿舎に戻った鉢呂氏は防災服のままだった。帰宅を待っていた記者約十人に囲まれた。視察の説明をしようとしながら鉢呂氏が突然、記者の一人にすり寄り、「放射能をうつしてやる」という主旨の発言をした、ということだ。各紙が「放射能をつける」という言葉のニュアンスが違うのだが、各社一致していないことで、現場にいた記者ですら、それほど問題のある発言だと認識していなかったことが分かる。
 
 しかし、「放射能」が8日午後11時半ごろであり、「死の町」が翌9日午前の記者会見での発言。それにもかかわらず、問題となったのは「死の町」が先で、「放射能」はあとになってからである。順序が逆になっていることから推測できるのは、「死の町」ではあまり問題にならなかったから、「放射能」を改めて問題にしたのではないかということだ。
 
 他の新聞各社も「放射能」を一斉に報じたのは、いわゆる「特オチ」を嫌ったからに違いない。「特オチ」とは「特ダネ」の反対の意味で、他社が「特ダネ」を抜いた時に自社がそれを知らなかった、という場合のことを指す。他社が知っていることを知らないと取材力の無さを指摘されることになる。
 
(11/9/15追記)
 東京新聞(11/9/14・26頁)では「鉢呂前経産相発言と報道」と題してこの問題を検証している。東京新聞の記者はその場におらず、共同通信の配信に基づいたという。(以下一部抜粋)
  
 毎日新聞社長室広報担当によると、「鉢呂氏は現地の状況について『ひどいと感じた』などと述べたあと、近くにいた毎日新聞の男性記者に防災服をすりつける仕草をし、『放射能をつけたぞ』という主旨の発言をした」。ただ、同社はこの発言を「非公式な場所での悪ふざけ」ととらえ、九日付朝刊では報じず、他社も動かなかった
 
 「放射能」発言は、フジテレビが同日午後6時50分過ぎのニュース番組で「死の町」発言に付け加える形で最初に報じた。この後、共同通信が午後9時過ぎに速報するなど各メディアは一斉に後追い。録音しない非公式の場での発言だったため、発言内容は「放射能をつけちゃうぞ」「ほら、放射能」「つけたぞ」「うつしてやる」など微妙に異なった。
 
 一日遅れて報道したことについてフジテレビ広報は「いつどのように放送するのかは編集の問題なので、公表していない」。共同通信の岡部央経済部長は「『死の町』発言で、原発事故対策を担う閣僚としての鉢呂氏の資質に疑義が生じたことで、前夜の囲み取材での言動についても報道するべきだと判断した」とコメントしている。
 
 江川昭子さんのツイッターによれば、その場に記者いたことが明らかになっているのは、朝日、NHK、毎日、共同の4社であるという。日テレ、TBS、テレ朝、フジは現場にいたか明らかにしていないという。
 
 一人の大臣が辞める事態となった発言内容について、現場にいた記者というのは限られた人数であったようである。その囲み取材を一斉に報じたことには違和感がある。現場に自社の記者がいないのに、一面トップで報じるというのは報道する側として違和感のないことなのか。つまり、情報源(ソース)がはっきりしていないのに、他社の引用をすることが報道の仕事だとしたら、ツイッターで情報源も確認せずにリツイート(引用)して情報を拡散させているのと同じレベルではないだろうか。
 
 「鉢呂氏の発言には批判が多い」という記述をいろいろな媒体で見かけるが、その「多い」という根拠はどこの報道機関が取材したものですか?
 
 
https://twitter.com/#!/amneris84/status/113418504606191617
 ↓元産経新聞の記者福島香織さんのツイート↓
https://twitter.com/#!/kaokaokaokao/status/112750023762124800
↓再生開始15分の辺りで1記者の詰問がある。 
http://www.ustream.tv/flash/viewer.swf

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↓3分34秒から「天皇が来る意味は?」↓

 
 
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★ 鉢呂経産相辞任 記者クラブに言葉狩りされて(田中龍作ジャーナル・11/9/11)
 
★ 鉢呂経産相が辞任 不適切発言などで引責(朝日新聞・2010/9/10)
★ 「ほら、放射能」厳しい状況共有のため 鉢呂氏(読売新聞・11/9/10)
★ 鉢呂経産相:8日夜の報道陣とのやりとりと9日夜の主な説明内容(毎日新聞・11/9/10)
 
 

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