突然ですが「バミリ」ってご存じですか?
「バミリ」というのがある。ステージに立つ歌手や俳優さんなどが立つ位置に印がつけてある。これを「バミリ」という。お客さんが”見える場所”ということから「場を見る」といい、この印をつけておく作業を「バミる」という。多くはテープでバツ印やT字などで記されている。
前にジャズダンスで踊っていたときにもこのバミリ作業が重要であった。実際のステージの大きさに合わせてテープを貼る。私がいたところでは、複数箇所張るテープをカードにして、それをひもでくっつけて並べていた。絵文字で書くと以下のようになる。
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こうすることで練習の際にいちいちバミリテープを貼る手間が省け撤収も楽なのだ。
ダンスなどの本番の場合、バミリがLEDランプのステージもあれば何もないところもある。こういう場合、リハーサルで客席通路の小さなランプなどを目印にして踊ることになるのだ。実際に踊り出したらバミリなど確認している暇はない。そのため普段のバミリをした練習が欠かせなくなる。
歌番組を見ていると歌手が立ち位置に立って歌うわけだが、この立ち位置であるバミリを確認している作業を見ることができない。多くの歌番組では歌手と司会者が話していて、「それではスタンバイお願いします」と司会者が言うと歌手は消えてしまう。次に歌手が映るときはすでに定位置に立った状態だ。
しかし近年1度だけバミリを確認したかもしれないアーティストを見ることができた。それは矢沢永吉、エーちゃんである。
2009年の紅白歌合戦にサプライズゲストとして登場したエーちゃん。楽屋奥から颯爽と歩いて登場。「時間よとまれ」のイントロが流れるといったん止まって呼吸を整えるような仕草を見せてからステージ中央へ歩く。舞台袖からステージに出たエーちゃんにインカムをつけたスタッフが拍手をしながらこちらへどうぞ、というように手で場所を示す。
次の瞬間、エーちゃんは下をちらっと見てすぐに客席に向かって笑顔でお辞儀をするのであった。あれは絶対にバミリを確認したに違いない。と思っている。
自分がバミリを経験してから、テレビに出ている人の立ち位置などが気になって仕方がない。もはやバミリマニアなのである。
テレビであればバミリというのは特に重要だ。立ち位置がおかしいとカメラに収まらない。舞台でも自分の立ち位置がおかしいだけで他の仲間に迷惑をかけることになる。この手の商売というのは魅せる前に見せるという基本位置に立っていなくてはならない。
ステージというところは慣れれば気持ちがよいが、最初はとてつもなく緊張するものである。小学校の学芸会のとき脇役であったのに緊張した。しかし終わってからのすがすがしさを経験すると、ステージングというのはやめられなくなるものなのだ。人生もそんな大きなステージや爽快感を経験して、幕を下ろしてもらいたいものである。
ちなみに、バミリの存在を知ったのはジャズダンスですが、その定義を教えてくれたのは、あのいかりや長介さんで、「ドリフ大爆笑」の中で語っていました。
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