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臓器移植 「死」の定義とは

 子どもが難病にかかり残された手段は臓器移植しかない、そんなとき、海外での臓器移植手術を選択することになる。海外渡航費、滞在費、手術費用などは高額になり、多くは寄付を募って渡航することになる。そしてそんな親御さんからはこういう声が挙がる。
 
 「なぜ日本人の子どもを日本国内で助けられないのか」
 
 それには臓器移植法により、15歳に満たない子どもの臓器移植はできないからだ。15歳という年齢は、民法における子どもの遺言の意思表示可能年齢に準じたものとなっている。臓器提供者(ドナー)の明確な意思表示が事前にあってこそ成り立つのが日本国内における臓器移植である。最近では臓器移植法改正に向けた議論が重ねられており、15歳未満ではなく12歳未満に引き下げるという考えもある。
 
 しかし年齢はもとより、「死」の定義に対して根強い異論があることも知らなくてはならない。脳死が「死」に値する状態なのかということだ。
 
 「長期脳死児」と呼ばれる子どもたちがいる。医師から「脳死状態」を告げられるが、その後も1ヶ月以上生き続ける子どもたちのことだ。人工呼吸器をつけて「生きている」のだという。母親は男児の皮膚を清浄綿で拭き、半開きになるまぶたを閉じて目の乾燥を防ぐ。3時間に1度の体位交換。栄養は鼻のチューブから。この6年間で身長は36センチ伸びて110センチになり、体重は7キロ増えて16キロに成長し、顔つきもすっかり男の子らしくなった。暑ければ汗をかき、排便時は顔を真っ赤にして踏ん張る。「苦には感じない。毎日一緒にいられることが幸せ」と母親は言う。
 
 脳死=死と定義させられれば、上記のような「生きている」子どもの存在が危うくなる。臓器移植を口実とした終末医療がカットされる恐れもある。「生きている」子どもから臓器が奪われる可能性すら危惧される。
 
 どういう状態をもって「死」と判断するのか、誰が、いつ、どのようにそれを決めるのか、人の尊厳が関わっているだけに、議論は尽くされるべきだ。しかし世界保健機構(WHO)では臓器移植目的の海外渡航を禁止する方針であり、あまり時間が残されていない。
 
 本当は、移植を必要とする子も長期脳死児という子に対しても、子どもの命を助けたいという親の願いが、先進医療を後押しすることを望む。
 
 
★ 人生の悲劇は、まだ生きているのに心が死んでいるということである(アルベルト・シュバイツァー)
 
 
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★ 脳死=死?臓器移植法改正の問題点(サンデー毎日09/5/10・17合併号=毎日新聞)
★ 臓器移植法改正を考える(LIFESTUDIES.ORG/JP 08/3/28)←エントリ内の男児の話はこちらからの引用です。
★ 東京の2歳児心臓移植、米コロンビア大が拒否(読売新聞・09/4/15)
★ 脳死や小児移植に多様な声 臓器移植法改正で討論会(09/5/19)
★ 臓器移植法改正案:自・民有志、「第4案」提出 15歳未満、条件付き容認(毎日新聞・09/5/16)
 
 

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