「薬害は存在しない」

 20歳の頃、急性A型肝炎で入院したことがある。身体がだるくなり、横になっていないと辛い。食欲も落ちた。黄疸も出て、肝臓の腫れが引くまで入院していた。肝炎ウイルスが原因だったのだが、これは外食などで不衛生な食器、汚れた手、ウイルスに汚染された魚、ウイルスを持っている相手との性交渉などが原因だったが、特定はできなかった。
 
 NHKの「クローズアップ現代」で「薬害肝炎」について取り上げていた。その中で記者が以前、厚生労働省の職員に取材したときに「一瞬何を言われているのか分からなかった」というのが職員の言った「そもそも薬害など存在しない。薬には必ず副作用があるのだから」という言葉である。
 
 概ねその通りだろう。西洋医学は即効性のある薬を与えてくれるが、必ず副作用がある。風邪薬には「眠気を起こすのでクルマの運転等は控えるように」とあるし、薬のCMでも「薬が合わない場合は医師や薬剤師に相談して下さい」などと言っている。そして病院にかかれば医師や薬剤師から副作用についての「説明」がある。
 
 薬害肝炎が問題になっているのは、この「説明」が無かったことだ。昭和63年に危険性を把握しておきながら、20年以上も放置していた厚生労働省はなぜ危険性を周知しなかったのか。当時の厚生省が「今は薬害エイズが問題になっているとき。軽口は慎むように」といった内部文書を現在の田辺三菱製薬側に送っている。
 
 国や製薬会社は裁判官に向かって和解案を言うべきではない。該当する患者に面と向かって説明する責任がある。原因となっているフィブリノゲンを投与された者でなければ、余命と向き合っている者の気持ちは分からないだろう。素人ではないはずの厚生労働省であれば、それが分かるはず。薬害問題はこれが初めてではない。一刻も早く救済のテーブルに着くのことが人としてやるべき仕事なはずなのに、その腰は重い。
 
 
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