言葉のリサイクル

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車を売るなら・・・ 犬の思い出

 
 車売るならガリバー!ということで、ガリバーの査定担当者が来た。妹の車、ダイハツ、ミラ・ジーノを売るのである。
 
 10分間、担当者の男性は車の内装、外装をチェック。その間、渡されたアンケート用紙に記入をしていた。男性が戻ってきて、台所で商談となった。車のことは勿論のこと、秘密の査定額本を見せてくれたり、携帯電話の話などで盛り上がった。
 
 台所で商談をしたのは訳がある。うちには室内犬が二匹いるが、これがお客さんが来るとワンワンうるさいのである。なので、犬から離れたところで話をした。それを伝えると男性は、
 
 「私は犬は大好きなんで大丈夫ですよ。実家にハスキーを飼っているんです。ですが、その犬はもう18才。排泄も自分ではできないんです。前足に頭をいれて、そのままひっくり返ってしまうんです。獣医に診せると、脳がもう生きていない、というんです」
 
 「あぁ、それは人間でいうと寝たきり状態ですね。」
 
 「はい。親父はそんな状態なので、『安楽死させろ』といいますが、母と姉は大反対です」
 
 「そりゃあ、そうでしょうとも。でも、ご家族どちらの気持ちも分かりますね」
 
 そうしていると、居間の扉が開き、わんぱくなうちのわんこが飛び出てきた。
 
 「ワンワンワン!!!」と男性に駆け寄ってきた。
 
 うちの犬は親戚の叔母の指を噛み、出血させたことのある「傷害罪」の前科がある。慌てた私はわんこを引き離そうとするが、不思議なもので、犬好きなその男性には敵意を見せることなく飛びついているのが分かった。
 
 そうこうしているうちに、男性の携帯が鳴った。査定結果が来たのである。査定額は私の予想を大きく上回った。査定額よりも、ガリバーだったということよりも、私はこの男性に決めたのだ。
 
 「じゃあ、この額で手続きをお願いします」
 
 ガリバーさん、二時間も話に付き合ってくれてご苦労様。
 
 妹と、私の思い出作りに参加してくれた、ミラ・ジーノ、さようなら。
 
 近く、ミラ・ジーノは引き取られることになる。
 
 
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